シニカルなのかユーモラスなのか

 村上春樹『雨天炎天』読了。ギリシャとトルコの紀行文だ。私はどちらにもまだ行ったことはないのだけれど、なんだかどちらもおもしろそうだなあと思った。もちろん村上春樹のファインダーを通してでだ。もともと村上春樹は愚痴っぽいつぶやきがエッセイでは多いけれど、この本でも、ほんのすこしまじめっぽく装ってはいるものの、「〜だけど、当然ながらそんな上手く行くはずがなかったのだ。」なーんてところはやっぱり愚痴っぽい。でもそれがちょっと笑えてしまうからこの人の作品はおもしろい。シニカルでユーモラスで、疑似旅行にはぴったりだと思う。