アメリカに対するアメリカの幻想

 このあいだの土曜日、「華氏911」を観てきた。やっと。ずっと観たい観たいと思っていて、もう早く行かないと終わっちゃうよ、というこの時期になってやっと。
 私は、子供のときには地球には日本しかないんだと思っていて、そうじゃないんだと知ったときはわりと衝撃だった(大いなる勘違い)。それから親戚がアメリカに行ったりして(それもニューヨークに)、アメリはえらいんだと思うようになった。日本よりアメリカのほうがえらいんじゃないの、って思っていた時期もけっこう長かったと思う。その、一時期の私にとって「えらい国」だったアメリカの内情をすこしでも見られたという点で、この映画はよかったと思う。もちろん内容に対してではない。マイケル・ムーアが描く現実のアメリカは、かなりひどい方向に向かっていっていると思う。ブッシュについても、あんな人物が一国の大統領であることがちょっと信じられない(あのテロがあったと最初に聞かされて、それでも何の行動も起こさない大統領って、いったい何の飾り物なの!)。アメリカという大国にいて、それだけで目が曇るということもあるのかもしれないなあと思う。もしかしたら今でも「パックス・アメリカーナ」のつもりでいるのではないか。もうすでにそんな時代は終わっているし、アメリカ以外の国はとっくにそんなことは理解している。それなのに当のアメリカだけが、それに気づいていないんじゃないかなあと(当のアメリカだからこそ気づかないのかもしれないけれど)。無自覚、無意識がいちばん怖い。目をしっかり開けて、いろんなものをしっかりと見るべきなんだ、と思う。