未読作家

 本を読むのは好きなくせに、私の読書傾向というやつはかーなーり偏りがあって(まあみんなそうかもしれないんだけれども)、数を読んでいるわりに読んだことがない作家がけっこういる。王道でしょ、と言われる夏目漱石だって『こころ』を一部分しか読んだことないし、太宰治も『走れメロス』以外読んだ覚えがない(このあたりはたぶん教科書で読んだだけ)。山本周五郎池波正太郎司馬遼太郎中島敦、このあたりも手つかず。古典、というか、そういう人(どういう人?)に弱い。男性作家にも相当弱い。家にある本はほぼ9割女性作家だし、外国人作家も知らない。それが悪いとは思ってないけど、読んでいる範囲が狭いせいでおもしろい本や好きになれそうな作家を見落としているとしたら、それはちょっとくやしいなあ。
 このあいだ、ある人に「お前は本なんて読むのか?」と聞かれてむきになって読んでるよー、と言ったら、「じゃあお前がいちばん人に薦められる本は何だ?」と言われたのだ。で、そこで私は答えにつまってしまったというわけ。なんだろう、って考えたらわかんなくなった。いったい私は何を読んでるんだかなー、とふがいなく思ったのだ。
 なので、もうちょっといろんなジャンルの作家の本を読んでみようと思う。読んでみて合わなかったら、それはそれでいいんだし。自分で門を閉ざさないように。