新人、ルーキー

 昨日帰りがけに買ってきた五味太郎の『大人問題』を読んでいるのだけど、これ、くせはかなりあるけどおもしろい。すごーく気に入った部分を以下引用。

 ヘアスタイルって大事な問題です。スタイル以前に髪のほうが問題だと言う人もいますが、それはさておき、こんなもの、人からどうのこうの言われる話じゃありません。服装の問題も同じです。教師は馬鹿の一つ覚えみたいに、髪の乱れは心の乱れ、服装の乱れは心の乱れ、なんて言いますが、その「心の乱れ」がポイントです。ぼくは、心は乱れるためにあると思います。「乱れない心」なんて、心ではない。
 「心」っていう字、好きです。あの形。「権」とか「軍」なんて字はみんなガッチリとくっついているけれど、「心」ってパラパラしてる。はじめっから乱れている。心を乱すなというのは、心をやめなさい、ドキッとかハッとかモゾモゾっていうのをやめなさい、ということです。確かに、管理者、為政者、まとめ役という立場の人は、みんなが乱れると困るんです。この「一糸乱れず」という要求、つまりは心をやめなさいと言っているのです。
(本文p.51〜53より引用)

 そうそうそうそう、って頭ぶんぶん振っちゃうよ。髪の乱れは心の乱れ、服装の乱れは心の乱れ、何回も何回も教師から言われたことがある。ほんとに馬鹿の一つ覚えみたいに。子供だってそんなに馬鹿じゃないよ。髪の毛とか服装とか、それって自分を表現するためのひとつの手段でもあるのに、そういうことはぜんぜん認められない。たとえば制服にちょっと手を加えて着てたりしてたら、もうそれだけで問題児扱い。髪の毛の色が少しでも茶色かったら要注意の子供。みんながみんな同じ格好をしてきちんとした髪をしてたら、それだけで安心なんだよね。とりあえず表面は問題ない子だから。そうじゃない子のほうがずっとずっと問題なのに。
 「心」っていう字は、私も小さいときから好き。風通しよさそうな字だよね。書道では難しい字の代表だった気がする。画数が少ない字って意外とバランス取りにくいから。でもそれがすごく好きだったなあ。「心」という字は、今でもわりと気をつかって丁寧に書く字のひとつ。
 ん? と思うところもあることはあるんだけど、でもこの本おもしろい。読了まであと半分くらい。