大人は有害?

 五味太郎の『大人問題』を読了。この人の考えはかなりユニークだ、と私なんかは思うんだけど、たぶん五味太郎本人からみれば、私みたいにユニークだと思っちゃう大人を見て、あーあと思うんだろうなあと想像したりする。もちろん頷けるところもたくさんあるのだ。

■「うちの子はすぐ靴下を脱いじゃうんですけど、それでいいんでしょうか」「うちの娘は鏡ばかり見ているのですけれど、それでいいんでしょうか」「うちのパパはほとんど子どもと話さないのですが、それでいいんでしょうか」「うちのおばあちゃんはお経ばかり上げていますが、それでいいんでしょうか」「うちの子は五味太郎絵本しか見ないのですが、それでいいんでしょうか」「わたしはイライラすると放火して歩くのですが、それでいいんでしょうか」・・・・・・それはいけないとはっきり言えるのは最後の質問だけです。
■許諾を求めるのだと思います。許可が必要なんだろうと思います。つまり基本は禁止なのです。してはいけないことが多くあって、していいことが少しある。で、自分のしていることがしていいことなのかどうか、ちょっと心配だという図式なのでしょう。
■許可をもらったら安心します。許諾を得たら大いばりです。休日、祝日は許可のある休み日ですから、大いばりで休みますが、ほかの日はいくら調子悪くてもなかなか休みません。休めません。で、お医者さんが診断書を書いてくれれば、大いばりで休めます。さらに、病気なら安心して休めるので病気が長引きます。すべてお墨付きというやつです。(本文p.132〜133より)

 たしかにそうだと思う。そうじゃない? これでいいんだよね、って周りに確認しながらやっていくの。みんな自信がないから。
 あと笑ってしまったフレーズが、これ。

■夫の許可を得て働きに出たなんていう女性にときどき会います。夫が労働基準監督局みたいです。(本文p.133より)

 こういうことをずばっと正面切って言っちゃう人っていいなあ。だってこれはどう考えてもおかしいと思うもん。
 そうかなーと疑問に思うところはあっても、これはその通りだーって思える箇所のほうが多いから、私にはこの本はおもしろかった。大人はたしかに問題かもしれない。私は小さかったときは相当な問題児だったけど、それも相手が大人だったからかなーと思えばちょっと胸がすっとする。