どこにでもアイドルっているのよねきっと

 斎藤美奈子『文壇アイドル論』を読了。時代の寵児として扱われた作家8人を取り上げて、それぞれについて論じた本。8人とは、村上春樹俵万智吉本ばなな林真理子上野千鶴子立花隆村上龍田中康夫。私がこの中で読んだことのある作家は、村上春樹俵万智吉本ばなな林真理子村上龍。8人中5人。まあまあの率か。
 最近になってやっと読みはじめた村上春樹吉本ばななについて書いてある章は、なるほどねえと思うところがあった。でも、よしもとばなながコバルトチックなんていうことは、今にはじまったことじゃないでしょう? よしもとばななが『キッチン』でデビューしたのは私が中学生くらいのときだけど、もうそのときからコバルトみたいだよね、っていうのは言われてた。それに比べて、この本ではじめて知ったのが、林真理子上野千鶴子のアグネス論争。アグネス論争があったのは覚えているんだけど、それが林真理子上野千鶴子の間でなされていたとは知らなかった。私は、立花隆はなんだかよくわからないおっさんだと思っていたし、村上龍はどうにも作品が生臭い感じがして読んでいない。田中康夫は言うに及ばず。そういう漠然とした違和感をずばずば指摘しているのがこの本。これを読んで立花隆を読みたくなった! なーんてことはぜんぜんないんだけど、読んでておもしろい本だった。それにしても、作家は斎藤美奈子という人物がいるだけで、仕事しづらいなーとか思ったり、しないのだろうか。大きなお世話かしらね。