迷える高校生

 村山由佳『BAD KIDS』を読了。この本ももう何回読んだだろう。有名な指揮者を父に持つ都は親子ほども歳の離れたカメラマンをあきらめようとし、その都が絶好の被写体として追いかけるラグビー部の隆之は、チームメイトへの気持ちを持て余していた。その2人が寄り添って互いの傷にふたをし、いたわりあう。やがてそれぞれに転機が訪れて。
 最初に読んだときは、都に感情移入して読んだ。今まで何回読んでも、どうしても女の都のほうに感情移入することが多かった。でも、なぜか今回は隆之の視点で読んでいることが多かったのに気づいた。私は同性を恋愛の対象として見たことはないし、そういう対象として見られたこともないけれど、女子高だったせいか、そういう気持ちや状況はなんとなく理解できる。男と女の違いはあるにせよ、同性に恋をしてしまうというのは大変な苦悩であることに変わりはないだろう。それにしても、隆之はなんて冷静な人間だろうと思う。ときたま感情を爆発させることはあっても、それに振り回されるわけではない。必死で自分を抑え、普段どおりに振る舞おうとしている。大人だなあ、と思う。かといって都が子どもっぽいというのではまったくなく、人の視線を気にせずにあれだけまっすぐ生きていくのも大人だな、と思うのだ。自分が高校生の時には、こんなに前を見ていただろうかと思うと違うと言わざるを得ない。こんなにまっすぐ生きる高校生は、きっといい大人になるんだろうな、と思う。