イギリスの魅力

 村山由佳『小説家ぶー子イギリスを行く』を読了。これ、実はサイン本だったりする。村山由佳さんは私が新卒で出版社に就職したときに、業界の研修会で講演をしてくれた人。自分の生活をすごく楽しんでるなあ、という印象が強い。そのあと既刊を読みあさって、好きな作家のひとりになっている。村山由佳の本だというのにまず惹かれ、イギリスだというのにますます惹かれ、残業中に会社を抜け出してサイン会に行ったんだっけ。そのときにすこしだけ話もしたんだけれど、気さくですごくいい人だった。その村山さんがイギリスを旅したのをまとめた本。イギリスは私も大好きな国だから、何回読んでもおもしろい。レンタカーを借りて、腰が痛いとうんうん唸るダンナさんと一緒にあちこち行って、蚤の市で買い物をしてごはんのまずさに頭を抱え、等身大の旅の様子が見える。イギリス礼賛日本批判の本が多いけれど、この本はそうじゃない。村山さん本人が惑わされないで見たイギリスについて書いてある。それはもちろん私の見たイギリスとも、きっと友達やほかの人が見たイギリスとも違っているはず。でもそれを、なるほど、そういう見方もあるなあと思えるのは、やっぱりこの人の力なのだろう。ただひとつ困ることは、この本を読むとイギリスに行きたくなってむずむずしてくること。でもそれこそが、この本の持つ力を表している事実だと思う。