何回聴いてもぞくぞくする

 9日の金曜日、小山実稚恵さんのピアノリサイタルに行ってきた。小山さんはほとんど毎年地元に来るので、そのたびに聴きに行っている大好きなピアニストのひとり。今回は母と叔母夫婦と一緒。プログラムは以下の通り。

ノクターン第19番ホ短調「遺作」
バラード(全曲):第1番ト短調/第2番ヘ長調/第3番変イ長調/第4番ヘ短調
ノクターン:第1番変ロ短調/第2番変ホ長調/第13番ハ短調
マズルカ:第45番イ短調/第37番変イ長調/第32番嬰ハ短調
舟歌嬰ヘ長調
ポロネーズ第6番変イ長調「英雄」

 今回のリサイタルはオール・ショパンプログラム。小山さんがショパンコンクールで入賞してから今年で20年なのだそうだ。ホールはすごく音響がいいところで、席も前から7列目の左側というとてもいいところ。曲も知っているものが多いし、始まる前からすごく楽しみだった。
 小山さんはカーキっぽい色のドレスで登場。はじめのノクターンはわりと静かな感じで始まったのだけれど、バラードに入ってからはすごく力強いタッチ。小山さんのステージは、なんだかんだいっておそらく10回近く見ていると思うけれど、そのたびにフォルテ、フォルテッシモの音の力強さと明快さに毎回びっくりさせられる。指と腕の力がすごくあるんだろうなあ。バラード4曲のうちだと、後半の2曲がよかった。小刻みなペダルの使い方と鍵盤の上で踊っている指がきちんとかみ合っていて、音の濁りもなかった。休憩をはさんで、ノクターンマズルカと進んでいく。小山さんの勝手なイメージだと、なんとなく儚げな感じがするからメロディラインが綺麗な曲の方がうまいのかな、と思っていたのだけれど、逆にちょっと情熱的な曲の方が似合っているのかなあとも思うようになった。舟歌はすごく好きな曲で、ぞわぞわと鳥肌が立ってしまった。「英雄」はかなりアップテンポで弾いていて、このままのスピードだとどれだけ指を速く動かさなきゃいけないの、と思うくらい。そのせいか、ちょっとはねているところがあった。ここでプログラムは一応全部終わり、アンコールでさらに3曲。1曲目はどの曲か知らなかったけれど、2曲目は前奏曲24番、3曲目はワルツの7番。いちばん最後の曲をいちばん聴いてみたかったので、弾いてくれたときはとてもうれしかった。大満足の約2時間。CDも買っていこうかと思ったのだけれど、すでに黒山の人だかりで大変なことになっていたので今回は諦めることに。すごくいい演奏会だった。10月2日に仙台で、ショパンスクリャービンチャイコフスキーのピアノコンチェルトばかりを弾くコンサートをやるのだそうで、うわー絶対行きたい! と思ったら、その日は食事会の予定が入っていてダメなのだった。がっかり。また来年も小山さんの演奏を聴きたいなあ。