これがいつか懐かしくなるのだろうか

 蓮見圭一『水曜の朝、午前三時』を読了。これはたしかどなたかのサイトで見かけて、読んでみたいなーと思っていた本だったんじゃないかなあ。主な舞台は1970年に開かれた大阪万博。けれど、これについては、私自身生まれてもいない年だし、いくら詳細に描写されていても、今ひとつリアリティが感じられない。もちろん、大阪で万博が開催されたということは事実としては知っている。あの岡本太郎制作の太陽の塔とかね。ただ、それを実際に小説の中で疑似体験できるかと言ったら、私にとってはそれは別問題なのだ。在日問題も、私にははっきり実感できない問題のひとつ。なんだかなー、私にはよくわからないことばかりが詰め込まれている小説という感じがした。この本を読んでも、私はちっとも切なくならなかったし。これがいつかわかるときがくるのかなあ。

  • 『水曜の朝、午前三時』(蓮見圭一著、新潮社) ISBN:4104500011