どちらかというと情熱を選ぶかもしれない

 江國香織冷静と情熱のあいだ Rosso』を読了。何回読んでいるのか本当に見当もつかない。読んでいくうちに、だんだんあおいの気持ちがわかっているのかわかっていないのかがわからなくなってしまった。優しくしてくれて甘やかしてくれるマーヴを傷つけてしまう気持ちはよくわかる。だけど、最後の場面で順正にどうしてひきとめてほしいとあおいは言えなかったんだろう。私だったら言っちゃうのになあ、と思う反面、でも実際に私があおいの立場に置かれたら、やっぱり何も言わないでミラノに戻るほうを選ぶかもしれない、とも思う。冷静と情熱なんて、まったく反対のように見えて、実は紙一重のものなのかもしれない。